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声を授かったスラム住民
2004.7.19(月) BBC News

インド初、スラム居住者に焦点を当てた雑誌の編集をするのは、プライドと高い志を持ったスラム居住者たち。

「Slum Jagathu(スラム世界)」は月刊で、人々が飽和状態にひしめき合い、外からは無視された居住地、都会の貧困生活の生の声をリポートする。

「これは単なる雑誌ではありません。戦うスラム居住者の声のこだまだ。」
編集と出版を担当するイサーク・アルール・セルヴァ(Isaac Arul Selva)さん。

彼自身も学校を中退している。
スラム街での暮らしそのものが、勉強以上に多くな影響を与えたという。
いくつかの仕事を転々とし4年前、30代前半の時インド南部の都市バンガロールで非営利目的の雑誌を創刊した。


セルヴァさん(左)とスレシさん
− from BBC


よりよい生活を訴える会合に集まるバンガロールのスラム住民たち − from BBC

地元の言語カンナダ語で出版、白黒コピーの月刊誌は、老若問わず多くのスラム住民に受け入れられてきた。
現在はバンガロールの他、近隣の町マイソール、マンディャ、ダヴァンゲレ、ホスペットなどのスラム居住者も読んでいる。

「約2500人ぐらいの読者がいます。この数は大変大きい。」

記事を投稿してくれるレポーターも増え、また自らは一般のスラム住民にも積極的にインタビューをする。
活動資金を寄付してくれる人も多い。

「基本的人権とアメニティ獲得のために奮闘することが、最終的な目的です。」

最新号には、病院の廃棄物や家畜の糞の捨て場となっている、最悪環境のスラムで育ちながら、決してあきらめず努力を続け、権威あるインド経営学会(Indian Institute Of Management)で秘書の地位に就く男性、ハムマンテャッパ氏の成功秘話が掲載されている。
「わたしの仲間たちの多くは、よりよい生活に向けて奮闘を続けています。」

また、タバコを売りながら一日で得られる収入40ルピーで家族全員を養い、おまけに数人のストリートチルドレンに食事の世話もしている女性、パパムマさんについても取り上げている。

他の国と同様、インドのスラム居住者たちにとって一番の問題とされているのは、差別待遇と基本的アメニティの欠如だ。

駐車場スタッフだった父親は、わずかな収入も苦しい家庭に入れようとしなかったため、副編集長のスレシさんは、学生時代とても苦労したようだ。

しかし大志を抱くスレシさんは決してあきらめず勉学を続け、優秀な成績を修め、奨学金で市の名門大学ナショナル・カレッジを卒業した。
修士獲得に飽き足らず、インドのシリコンバレーと呼ばれる町に住んでいるという誇りと情熱だけで、コンピュータープログラミングの勉強に没頭した。

「一日のほとんどを、インターネットにつないだパソコンの前で過ごしています。世界中のスラムに関することなら何でも、わたしの目を引くのです。」
スレシさん。

インド政府のスラム地区における生活向上のための予算案、開発案などのニュースを、いち早く住民たちに届けるのも大切な仕事だ。

雑誌は非政府であり、また企業からの資金提供も一切受けていない。
「誰の奴隷にもなりたくないし、虐げられたくもない。独立した自由な視野が命なんです。」
セルヴァ氏。

一方、高価なマンションで涼しい顔をして暮らす社員を多数雇う、地元のあるソフトウェア産業から、粗野な侮辱も受けている。
このハイテク・ハブにも700以上のスラムがある。

「IT企業からの支援を受けようなんて思わない。彼らは我々が周囲に寄りつくのを嫌うんだ。」

テクノロジー業界からは無視されているかもしれないこの雑誌だが、セルヴァ氏は現在オンライン版を作成しようと計画中だ。

「スラムに住んでいてもインターネットアクセスは可能な時代になった。情報を州内に速報で提供したい。」

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どんな環境にあっても、あきらめず努力を続け、大成していく人たちです。この環境を作ったのも人間、この環境を改善するのも人間。多くのことを学ばせてもらいます。


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