皇帝の愛が鮮やかに再び
2004.11.1(月) Sunday
EXPRESS
ラブストーリーの大作に、今再び、新しい息吹がよみがえろうとしている。
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ムンバイ中心部にある、インド芸術・アニメーションアカデミー(IAAA)、1日8時間の3交代制で、24時間休みなく人々が専念しているのは、1950年代の名作映画、「ムガル皇帝(Mughal-E-Azam)」をモノクロからカラーに着色する作業。
作業にかかる費用は、オリジナル製作費用の約3倍、3000万ルピーと見積もられている。
IAAA技術部長のラジーヴ・ドウィヴェディ氏率いるスタッフたちが、白黒映画をカラーに着色する技術を開発した時、真っ先に思い浮かんだのがこの古い映画。
「多くの映画がひっきりなしに生まれるこの時代、古い名作映画がまた歴史を作ったっていいじゃないか?」
このモノクロ映画をハリウッドでカラー化しようとした投資家は、8000万から2億ルピーという巨額な費用で半ばあきらめかけていた。IAAAなら、2000万ルピーでできると提示してきた。 |
ドウィヴェディ氏らの挑戦に対し、「クラシック映画への冒とくだ」との意見を持つ人々もいたが、実際カラー化にともなって、フィルムの傷、穴、布目などの痛みや、雑音を目立たなくさせるなどの修復作業も同時に進められるため、大いなる遺産となる映画の保存に役に立っているという。
「古いフィルムを改善して見やすくすることは、若者たちにもう一度見てもらうためにも大切な作業です」
この映画の主演俳優だったディリップ・クマール(Dilip
Kumar)氏は、カラー化完了後のプライベート試写会で感動のあまり涙を流していたという。
上映修了後、立ち上がったクマール氏は、「夢だった」と一言。
オリジナルでも音楽を担当し、カラー化に伴うアレンジ音楽の製作をしたナウシャッド氏は完成したカラー版を観て「信じられない」と感動したとか。
補足情報
・IAAAのカラー化ソフトウェア「エフェクト・プラス(Effect
Plus)は350万色の着色を、紫、紺、青、緑、黄色、オレンジ、赤のたった7原色から作り出すことが可能。
・人間より賢いこのソフトウェア。開発チームが映画中のバラの花に赤く色を着けることができなかった。あとで調べてみるとムガル時代赤いバラは存在しない(赤いバラは後に品種交配によって作り出されたもの)ことから、ピンク色を着けることになった。
・ほとんど全て、人間が考える色の着色が可能。ただ、あまりにも暗い灰色の背景の一部分に、空色を着けることはできないとか。
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このニュースは、特にわたしたちのお客さまとして2週間滞在してくれた、ハナちゃんに知らせたいです。彼女はインドの古い映画をこよなく愛し、それに関するとても深い知識を持っておられ、また18歳にしてヒンディ語も理解できるほどに勉強熱心な方でした。将来が楽しみです。
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